こんにちは。「崖っぷち社長」こと殿木達郎です。
今日は誰にでもある「苦手意識」の話です。
このエピソードでは英語への苦手意識を取り上げていますが、苦手な人、数字が苦手、など人それぞれの「苦手意識」があると思います。
そんな苦手意識の僕なりの克服方法についてのエピソードを書籍から抜粋しました。
フランスとイタリアで学んだこと
二〇一一年六月三十日、僕はパリ郊外で開催された「ジャパンエキスポ」の会場にいました。会社では白い眼で見られ、あきれ顏で送り出されましたが、僕は次のステップに行くために、誰が反対しようと、海外事業を始める第一歩のために、やって来たのです。
会場は、青い目の日本オタクやコスプレをしたアニメオタクでごったがえしていました。二十万人が集結するという欧州最大の見本市で、僕の出店したブースでは、日本人アーティストたちがパフォーマンスを繰り広げてました。
日本ではほとんど知られていないインディーズのミュージシャンであっても、日本から来たというだけで握手攻め、サイン攻めで、写真はバシャバシャ撮られます。自主レーベルのCDもあっという間に売り切れ! その様子を見て、日本でいつも「売れない、売れない」とぼやいているミュージシャンを束ねてここに連れて来れば、どんなにヒートアップするだろうと考えていました。
震災の影響もあって、日本のエンタテインメント市場も元気がなくなっていましたが、エンタメの力をもっと掘り起こせば、日本に活気が戻ると思いました。この感覚を肌で味わえたので、来て良かったと思いました。そして今回はスタッフで参加しましたが、「次回はミュージシャンで参加した方がいいぞ!」と本気で考えたのです。
そんなことを真面目に考えていると、思わぬチャンスがやってくるものです。優秀な我が社の海外事業担当、イタリア人エリカを通じて、十一月に今度はイタリアのルッカ(トスカーナ州の城塞都市)でコミケ(コミックマーケット。このときの正式イベント名は、ルッカ・コミックス&ゲームス。コスプレーヤーのメッカとしても知られる)が開かれるので、某グループをブッキングしてほしいという依頼を受けました。
しかし、彼らは人気が出始めたグループで、イタリアに行くスケジュールもとれない状況でした。しかも、招待はしてくれるがギャラは出ないという条件だったので、頭を抱えていたのですが、「コミケでアニソンを歌うヘヴィメタバンドはどうか?」と打診したら「OKです、ぜひ!」とオファーがきたのです。
そのヘヴィメタバンドとは、カリフォルニアの視察旅行で知り合った元ギタリストのクニヤと僕のこと。札幌に住むクニヤにバンドを組んでイタリアに行かないか、と連絡すると、彼は喜んですぐにOKをしてくれました。さて、残るはベーシストとボーカルです。思いついたのがクリエイティヴ・デザインができるベーシスト伊藤博臣さんでした。バンドをやるとなったら、クリエイティヴをしっかりさせなくてはいけない。しかし、予算がないからプレーヤーも兼ねられるなら鬼に金棒です。そして、何かと顏の広い株主さんに会ったときに、クラシックの声楽を学んだという女の子を紹介してもらいました。彼女は和服を着てアリアを歌うというので、早速カラオケに行って、『エヴァンゲリオン』の主題歌を歌ってもらったら、超うまい! これで、にわかバンドが結成されました(いやはや、本当に株主さんとは仲良くしておくものです!)。
冗談のような本当の話で、二〇一一年の晩秋、僕らは『ST.WW −R』というバンドを組んで、イタリアのルッカでコンサートを敢行したのです。会場は、中世のお城をバックにした野外で。僕もこのときばかりは、社長業を忘れ、目の周りに太いアイラインを入れて、ビジュアル系ハードロックドラマーに扮しました。照れている場合ではありません!
その様子は地元のメディアにも「ジャパニーズ・ファンタジー・ハードロックバンド」として紹介され、インタビューも掲載されました。コンサートの次の日から、街を歩くと握手を求められ、ひとときのスター気分を味わいました。実はこれに懲りず、クニヤと僕は今もヘヴィメタバンドを組んでいて、ときおり、ライブハウスに出没しています。
いやはや、人生どういう展開になるかわかりません。結構、無理を強いてイタリアまで来ましたが、貴重すぎる経験ができ、これも人生の宝ものになっています。
なぜ、海外に苦手意識が芽生えるのか
初めてジャパンエキスポに行ったとき、残念だなと思ったのは、せっかくフランスに来ていろんな国の人と話ができるのに、会話をしないで黙っている日本人が多かったことです。一人ぽつんとブースに立っている日本人におせっかいしたくなり、自分のブースを離れて、通訳をかってでました。そんなおせっかいが功を奏して、日本でだったらそうそう簡単に会えないような、有名企業の重役さんとも親しくなることができました。
実は僕、英語なんて全くうまく話せません。でも、イタリア人やフランス人と話すとき、気持ちが通じればいいやと思うので、正しい英語かどうかなんて気にならないのです。
外国が好きな人と、苦手な人がいると思います。僕は外国が好きというよりも、知らない世界が好きなので、チャンスがあったら飛び込んでみる—たとえやけどしても—だから起業できたと思うのです。
どうすれば、苦手意識を克服できるのか?
その答えは、 『崖っぷち社長が教える! ピンチを乗り切る「なぜ?」「どうする?」の使い方』 の121~122ページをご覧ください。
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